水槽を立ち上げる時は、底に敷くソイルや砂利を選んでから水を張り、それから水草を選ぶ方が多いと思います。私もアクアリウムを始めた時はそうでした。今と違い、当時は選択肢があまりなく、近くのショップには大磯砂(南国砂)かサンゴ砂の2択でした。タンガニイカ湖やマラウイ湖産のアフリカンシクリッドや海水魚を飼う場合の底床はサンゴ砂で、それ以外は大磯砂でした。


弱アルカリ性の水道水で立ち上げた大磯砂の入った水槽は水質にほとんど影響を与えませんから飼育水も弱アルカリ性からスタートしますが、日々、酸化しますから、PHが下がってきたら急変する前に水換えをして弱アルカリ性をキープする管理方法の水槽環境でしたら、アヌビアスやミクロソリウム、クリプト、カボンバ、バリスネリアなど中性から弱アルカリ性でも適性範囲の水草は育ってくれます。


トニナ.spやトニナ・フルビアティリスが出回り始めたころ、育成しようとする場合は飼育水を弱酸性にしたいのですが、大磯砂しかないのでCO₂で酸性に調整するかイオン交換樹脂やピートを駆使して弱酸性の水を作ってから立ち上げたり、その弱酸性の水で水換えをして飼育水を弱酸性にキープしました。が、ピートの量や時間と元水の水質でPHの下がり方が違うので常にPHチェックとその都度調整する必要があります。しかし、分かっていても時間に余裕がないと継続して実行するのは難しかったです。


水草の本に「トニナは育成が難しい」と書かれているのは、当時、日本の水を弱酸性にキープするのは大変だったので「難しい」という言葉になってしまったと思います。
昔話が長くなってしまいましたが、現在は水草水槽といえばソイルが主流になり、ソイルの種類も多く性質も様々でPHや総硬度も銘柄ごとに変化しますから選択肢が多すぎて逆に難しくなったかもしれません。それは、ビールや日本酒のように銘柄が違うと当然味も違うように、ソイルも銘柄によって飼育水の水質も様々に変化するので、水槽を立ち上げたときに選択したソイルで結果が変わってしまうからです。出来上がった水質を後から変えようとするとリセットになりますから躊躇してしまいます。


話を戻すと、水槽を立ち上げてから水草を選ぼうとすると、ご自身の欲しかった水草と水槽の水質が合わないことが多々あります。ですから今は、立ち上げる前に水草を選んで、その水草の適性範囲になる様な底床を選んだほうがいいと思います。
当店の水草販売水槽は、大磯砂で中性付近の水槽とM87ソイルでPH6弱の弱酸性にした水槽の二つに分けています。中間が欲しいところですが、PHを6.5前後に安定させる素材がコスト的に見つかっていません。大磯砂は半永久に使えるとして、PH6以下のM87ソイルはシュリンプ水槽では2年~3年ほどですが、水草水槽では4年~5年は使えていますので、気にはならないのですが、ほかのメーカーのPHを6.5前後にするソイルは色々試しましたが、半年から1年ほどで、底床のソイルの下部から崩れていくのでそこが粘土状に固まってしまい水草は根腐れして弱ってしまいます。そうなるとリセットになりますから労力とコストを考えてしまい現在に至ります。
底床選びで水草が水質以前に育ちにくいのは「ゼオライト」でできている「ろかジャリ」です。その他にも「ゼオライト」でできている底床は注意が必要です。水草に必要なカルシウムやマグネシウムを吸着してしまうので、もともと少ない日本の水では致命的です。どうしても使いたい場合は、水道水などで吸着できなくなるまで吸着させてから使えば何とかなるかもしれません。

