水草についてのご質問で特に多い質問は、「CO₂を添加しないと水草は育ちませんか?」という質問です。
それは、「水草はCO₂を添加しないと育ちません」という情報をどこかから聞いているから発生する質問の様です。その情報元が理解しているかどうかは別にして、理由がわからないと納得できないのは当然です。炭素補給だけが目的でしたら活性炭でも代用できます。
ですが、水質を適正値にするために必要な場合もあります。詳しくはCO₂の特徴とアクアリウムをご覧になって下さい。



水草は種類も多く、自生している河川の水質も様々ですから、種類によって適性な水質の幅も違います。例えばPH5.5前後の弱酸性が適性の海外の河川の水草は、日本の弱アルカリ性の水では枯れてしまいます。そこで、日本の水にCO₂を添加して、PHを適正範囲の弱酸性にキープすると育成することができます。この場合でしたら「CO₂を添加しないと育ちません」という説明は成り立つと思います。
ですが、PHコントローラー無しでCO₂添加で弱酸性の水質をキープする難易度はかなり高いです。何故かというと水質調整と水草の消費量の調整を同時に行う事だからです。水草を植えたばかりの時や、トリミング後は光合成も鈍るのでCO₂の消費は少なくなります。が、いつもと同じ添加量だと消費されないCO₂が水槽のPHを下げてしまいます。逆に水草が成長して葉数が増えるとCO₂の消費量も増えるので、添加量もそれに合わせて増やさないと弱酸性を保てなくなります。なので、コマメな水質チェックと状況に合わせてCO₂添加の調整が不可欠になります。
さらに言いますと、弱アルカリ性の飼育水にCO₂を添加して水素イオンを増やす事によってPHを下げていると、同時に炭酸塩硬度も増えてしまうので、弱酸性にPHを安定させるためにはCO₂添加量は日に日に増えてしまします。小型魚が少数の水槽であれば尚更です。
そこで便利なのが、ピートや今ではソイルを利用して、日本の弱アルカリ性の水を弱酸性にすれば、CO₂添加なしで弱酸性の水草を育てることができます。弱酸性と言っても水草の種類によって適正範囲が違いますから育てたい水草は水質が似ている種類を組み合わせて調整するといいと思います。
ピートやソイルで弱酸性に調整した水槽にCO₂を添加する場合、CO₂が電離してPHを下げるのはPHが低いほど緩やかになりますから、CO₂の添加量が多すぎてもPHの急変は緩やかになり、少量でCO₂効果が高まりますから水草の成長には都合がいいです。
CO₂は、水草にとっては必ずしも必要ではありませんが、光量や肥料成分に見合うCO₂添加をすると成長も早いのでコケも付きにくくなるという利点があります。しかし、水質に関係なく、CO₂添加が必要な水草もあります。
代表的なのは前景草としての「リシア」です。そもそも浮草なので、水面に浮かしていればCO₂添加は必要あありません。ですが、水草レイアウト水槽でリシアと言えば前景に配置するのが一般的ですから、水面から底床の表面まで下げるわけですから、かなり強い光量とCO₂添加は不可欠といえます。
このように限られた種類と状況に限っては、「CO₂を添加しないと育ちません」という言葉は成り立ちます。ですが、ほとんどの水草は、水槽の水質が、適正値内であればCO₂の添加無しで育てることができます。それよりも、種類、生息地により異なりますが、熱帯魚は雨期と乾季で酸性から弱アルカリ性まで水質変化に対応していますが、水草は水中葉と水上葉で対応しますから、水槽飼育では、水中葉時の水質の幅はあまりありません。
ですからCO₂の添加よりも優先する「水質を適正地にする」または、「ご自身の水槽の水質が適性値の水草を選ぶ」ことを当店ではお勧めしています。



