M87バクテリアを3か月で追加する理由

シュリンプ水槽の管理で一般的な他のバクテリアを使った水槽や常在菌に頼った水槽管理の場合はバクテリアは増殖して順番に死んでいきますからバクテリアの死骸であるヘドロは増え続けます。ろ過材の目詰まりを防ぐために定期的に濾過槽やろ過材の掃除が必要になります。底面フィルターの場合はプロホースなどで底床の掃除が必要になります。

当店オリジナル飼育用品のM87バクテリアの特徴の一つはバクテリアの死骸も分解するので、ろ過材に堆積するはずのヘドロも分解します。M87式繁殖レシピの底面フィルターの場合はろ過材はバクテリアが大勢棲める多孔質なM87ソイルですからソイルの目詰まりは致命的です。ところが、M87バクテリアが自分たちの死骸でもあるヘドロも分解してくれるので掃除する必要はありません。

ですが、永遠ではありません。これについて以前に海洋学部卒業のお客さんからの質問で、「バクテリアは増殖する筈ですから追加する必要はあるんですか?」と聞かれたことがあります。とてもいい質問でしたのでよく覚えています。バクテリアが増殖し続ければ本来、その通りで追加しなくても繁殖水槽が継続できるのが理想ですけど、実際に試すことは出来ませんから分かりませんが、仮に無菌室に水槽を置けば追加の必要は無いかもしれません。

現在の底面フィルター推しになるまで色々試しましたが、トリプル濾過以外の上部フィルター(濾過材はモノボール)、厳選した外部フィルター(濾過材はパワーハウスとシポラックスの2通り)、セラの内部フィルター、セラのスポンジフィルター、ブリーディングフィルターでも、ヘドロは堆積しませんでした。M87バクテリアの特徴のバクテリアの死骸も分解するということは、バクテリアの世界では一番下っ端の最も弱い存在ではないかと想像しています。

無菌室には他の菌、バクテリア、微生物はいませんから水槽に入れたM87バクテリアだけになりますから追加の必要は無い可能性はあります。ですが、通常は水槽の周りには地域によって様々な種類の常在菌がいます。その常在菌は水槽に入るとM87バクテリアと仲良く共存するのか喧嘩になって追い出そうとするのか、見えない世界ですから分かりません。ただ、水槽内、濾過フィルター、濾過材の種類と状況の違いである程度予想することはできます。

M87バクテリアを3か月で追加する理由は、ご自宅の常在菌がM87バクテリアの天敵でだった場合、先住民として3か月は耐えられますが、徐々に形勢が逆転しバランスが崩れると、バクテリアの死骸を分解するスピードが間に合わず、ヘドロが堆積し多孔質ソイルが目詰まりして止水域ができます。すると硫化水素を生産する嫌気性菌が勢力を伸ばしてしまい、体の小さい稚エビから死んでいきます。余談ですが、運よく藍藻が発生すると硫化水素を消費してくれますので崩壊までの時間稼ぎにはなります。

そうならない為にバクテリアの世界では弱い立場の「M87バクテリア」を数で勝負するしかないので規定量の追加が必要になりますが、3か月というのはあくまでも一般的な場所での無難な時間です。公害の多い工場地帯や都心では2か月で追加する方が無難な場所もあります。このような場所ではなるべく外の空気を入れないように締め切った部屋に水槽を置くか、農薬用、医療用のマスクをエアーポンプに被せる等の工夫である程度は改善できます。

【駿河シュリンプ】さん作

逆に、海の近くや公害や農薬の心配が無い場所では、半年以上追加しなくてもヘドロが堆積しない地域もあります。おそらくですが、環境に恵まれた場所の常在菌は「M87バクテリア」の邪魔をしない種類が多い菌類かも?と想像しています。今まで店で色々な地域にお住いのお客さん達の話を聞いて、地域の常在菌の種類によって状況がまるで違うのがよくわかりました。

よくある失敗は、水槽を立ち上げてM87バクテリアを入れて順調に繁殖を繰り返すようになると3か月経過してエビを見ても元気なので、バクテリアの追加を忘れてしまったり、または必要ないんじゃないか?と錯覚してしまい追加をしないでいると、もちろんすぐに崩壊するわけではありませんから、徐々に餌食いが悪くなったり稚エビから居なくなり数が減ってきます。こうなるとソイルも目詰まりしていますから交換する必要があります。エンジンのオイル交換と同じで、時期を忘れてしまうと後が大変なことになります。

M87バクテリアを使う水槽と使わない水槽を同時に立ち上げたり、追加のタイミングをわざと遅らせた実験をすると結果が見えますから解り易いですよ。また、ヘドロの分解をバクテリアに頼らず、プロホースで掃除するという方法もあります。丸形ソイルと違いM87ソイルは硬めなので耐えられます。欠点は水換えになるので換えれば換えるほど弱酸性にキープする力は弱くなります。また、産まれたばかりの稚エビはソイルの1列下あたりに潜んでいますからプロホースで吸ってしまったりソイルに埋まってしまったりするリスクはあります。