店長豆知識カタログ ビーシュリンプの飼育環境
成功するか、失敗するかは使う物(商品)や水の選択でほぼ決定します。当てはまるものがあるのではないでしょうか?ご参考にどうぞ。
良い環境?悪い環境?
環境に恵まれている人の共通点・・・
水や空気に恵まれている人の共通点
- 海の近くに住んでいる
- 近くに畑やゴルフ場、科学工場が無い。畑があっても無農薬栽培を行っているため農薬の使用が行われていない。
- 自然に囲まれている
- 空気中の水分に雑菌や有害菌の少ない場所
恵まれた水とは
- 酸化還元電位(ORP)の値が低い水道水・井戸水等を使える。
- ORPの値が低いと、多少悪い製品を使用しても還元力のある水が相殺してくれるので、普通の水を使っている人が成功しない方法でも水がカバーしてくれることがあります。日数が経って水の還元力が無くなり調子を崩しても、水換えをすればすぐ立ち直ります。ORP値の低い井戸水を使っている方は環境にも恵まれている場合が多く、そのような特別な人のマネは非常にキケンです。環境に恵まれていない私達は悪い商品を使ったらひとたまりもありません。考えずに水換えをするとコケは繁殖し、生体(エビ・魚・水草)は弱っていきます。ですが悪い商品に対して敏感になれるので違いに気付く事が出来ます。
バクテリアの必要性
今まで『環境』と言う言葉を使ってきましたが、ここで言う『環境』とは空気の事です。良い空気には良いバクテリアが多く存在し、悪い空気には雑菌や水槽に都合の悪いバクテリアが多く存在します。(バクテリアは空気中の水分内にいる)ですから「バクテリア製品なんて買う必要がない」と言う人ももちろんいると思いますが、すべての人がそうとは限りません。
「引越しをしたら思い通りにならない。」「以前と同じやり方なのにうまくいかなくなった」と、首を傾げる方も少なくありません。周りの空気や家に住みついていたバクテリアの種類や数等のバランスが違うのですから当然の事ともいえます。
また、自分がうまくいったからといって友人に勧めてもその友人が同じ『環境』=『良い空気』に恵まれた人でない限り同じようになるとは限りません。
逆に言うと『環境』=『良い空気』に恵まれていない人がうまくいく飼育方法ならほとんどの人がうまくいくのではないでしょうか?
外部フィルターについて
ろ過フィルターの中で外部フィルターが一番と思っている人が少なくありませんが、水草水槽には都合の良いフィルターです。それは水草が光合成をする時に使う二酸化炭素(CO2)を逃がしにくい構造の為です。CO2を添加してもエアーリフトによる底面フィルターではせっかく溶け込んだCO2もエアーによる撹拌で逃げてしまいます。また、いくら外部フィルターでもディフューザーを使ってエアーを巻き込ませると結果は同じです。
その他、脱窒フィルターとしても有効です。外部フィルターの種類とろ過材の種類での相性もありますが、フィルター内で酸欠ぎみな場所を作り易いので、有機物分解菌の中で酸素があれば酸素を使い有機物を分解しますが、酸素の少ない場所では酸素の変わりに硝酸(NO3)のOを利用してくれます(仕方なく)。この様な通性嫌気性菌が住み着いてくれますとNO3のN(窒素)だけが取り残され水槽外に出る脱窒になります。
しかし、自然発生菌だと都合良く安全に脱窒できる菌(バクテリア)が住み着くかどうかは環境次第です。場合によっては硝酸塩を亜硝酸にする菌もいますし、はじめは脱窒できても硝酸塩がなくなった後に硫酸イオンを利用して硫化水素を作り出す硫化水素発生菌もいますから・・
各種水質テスターでは問題なく原因不明でエビがポツポツ死んでしまう場合は、外部フィルターとろ過材、バクテリアの相性が悪いケースもありますが、外部フィルターそのもの具合の悪いもの使ってしまった場合が非常に多いです。
また、これはお客さんや店内の水槽でも実際にあった事ですが、底面フィルターだけでレッドビーシュリンプが順調に繁殖していたところ、数が増えてきたのでエーハイム(現行)の外部フィルターを設置。するとポツポツと死にはじめ、だいぶ数が減ってしまったので外部フィルターを外しました。しばらくするとまたレッドビーシュリンプ達が元気になり繁殖を始めました。古いエーハイム(発売元ワーナーランバート)ではこの様なケースは有りませんでした。
現在流通している外部フィルターで私が安心できると感じるのは、ADAのスーパージェットフィルターだけになってしまいました。理由は動力であるモーター(ポンプ)がレイシーポンプで非常に高性能の為、意地でも水流が落ちないからです。評判の良い現行のエーハイムでは当店では、10台中9台が水流の落ちる時期が早まってしまい、エビどころか水草も調子が上がらず油膜も目立ちます。以前のエーハイム(ワーナーランバート時代のMade in w-Germany)の耐久性はありません。特に50hz地域ではひどい有様のようです。
外部フィルターの水流が落ちてくると、今までの水流条件で育ってきたバクテリア達のバランスが崩れてしまい、ろ材内部で好気的な場所が嫌気的になったり、止水域ができたり、硫化水素発生菌に都合の良い水流まで落ちてしまうと今まで活躍してきた良性のバクテリアも死んでしまいます。
ソイルについて
ソイルは水のPHやGH、TDSなど、水質を変化させますので、かなり重要な存在です。
現在様々なソイルが販売されていますのでどのソイルを選ぶかで大きな違いができてしまいます。
同じ水を使ってもソイルの種類の数だけ色々な種類の水質が出来るわけです。
中にはレッドビーシュリンプが死んでしまうソイルや、死にはしないけど繁殖しないソイル、初めは抱卵したけど3ヶ月で全滅してしまうソイル・・等々。実に多種多様な、と言いましょうか見た目は似ていても内容はバラバラです。「ソイルは何を使っても繁殖できる」という特別な存在の方々もいますが、大半の方はどれでもいいという訳にはいかないと思います。
私も以前は手当たり次第に試しました。今ほど種類は多くなかったのですが、(ソイル選びで)失敗の連続でした。レッドビーシュリンプ達にはかわいそうな事をしました。しかしそんな私でもレッドビーシュリンプを殖やせるソイルはありました。87地ブリのお客さんたちの多くも過去失敗を繰り返してきた人達です。ですから「ソイルは何を使っても繁殖できる」という人より「ソイルを選べば繁殖できる」人のほうが大勢いると思います。そして、ネット上に情報を流すのは一部の恵まれた「ソイルは何を使っても繁殖できる」人たちです。
失敗している人達はブログなんか書かないしブログを書いている人も失敗談を書く人は少ないですから・・